今回は遺言の撤回についてお話いたします。
遺言者はいつでも遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を取り消すことが認められています。
これは遺言の効力が発生する前に遺言者の意思が変わった場合で、法律的には遺言の撤回となります。
遺言者に一定の事実があった場合に、法律上遺言が撤回されたものとみなす場合があります。
これを法定撤回といいます。
前の遺言と後の遺言とで食い違いがあるときは、その部分に関しては後の遺言が前の遺言を撤回したものとみなします。
例えば、この土地をAに相続させると遺言した場合に、あとの遺言でこの土地をBに相続させるとしたときは、Aに相続させる遺言を撤回したとみなすということです。
遺言者が遺言後にその内容と違う法律行為をしたときは、その行為によってその遺言を撤回したものとみなします。
例えば、この土地をAに相続させると遺言したにも関わらず、その土地を遺言者自ら売ってしまった場合は、この土地をAに相続させると遺言を撤回したものとみなすということです。
遺言者が故意に遺言を破棄したときは、その部分については破棄したものとみなします。
例えば、この土地をAに相続させるとした遺言書を遺言者自らが破り捨てたときは、その部分は遺言を撤回したものとみなすということです。
遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときは、その破棄した部分については遺言を撤回したものとみなします。
例えば、Aにこの腕時計を相続させるとした後で、その腕時計を遺言者自らが故意に壊したときは、その部分については遺言を撤回したものとみなすということです。
これらはあくまでも、遺言者が故意にしたことが必要です。
遺言者の過失や第三者によってなされた場合はこの限りではありません。
今日はこの辺で。