スマートフォンサイトへ
平山行政書士

ブログ

遺言で親族以外に遺贈するケース

今回は遺言を使って、遺贈を行うケースについてお話いたします。

民法では、”相続” できるとしているのは、配偶者・子(孫)・親(祖父母)・兄弟のみです。

例えば、配偶者もなく子もいない、両親もすでに他界している。
孫も祖父母もいないときの相続人は兄弟となります。
この場合、遺言がなくても兄弟(兄弟の子)が相続します。

子の妻(嫁)に老後の面倒をみてもらった・愛人(愛人の子)に少しばかり遺してあげたいなどの場合、生前にそのようにしておくしかないのです。
疎遠で、ろくに話したこともない弟の子しか相続人がいなければ、弟の子がすべての財産を相続するということになります。

妻が先立ち、息子も亡くなってしまい、弟はそりが合わないこともあり、両親が亡くなった後は法事のときぐらいしか顔を合わさなくなった。

それでも弟が生きている間は、回数は知れているものの法事のときにあっていたことになりますが、この弟が亡くなった後はもう20年ぐらい弟の家族とは没交渉であったとしても、弟の子(弟の代襲相続人)は相続人なのです。

息子が亡くなった後も、老いた自分の面倒を長い間みてくれた息子の嫁は相続人ではありません。
生前になんとかするか、遺言を遺さなければこの嫁は家を追われる可能性すらあります。

このケースであれば、遺言で息子の嫁に遺贈することで自分の財産をすべてこの嫁に与えることができます。
兄弟(この場合弟の子)には遺留分がありません。

何らかの面倒を掛けた人へ何かを譲りたい場合でも同じです。
それが他人であっても。

民法の解釈として、法を持って戦わないものは助けないとしています。
それを置きかえれば、結果としてどんなに非情な形になったとしても、そもそも準備ができるのに準備をしなかった者が悪いとなります。

もちろんこれは一つの例であり、悪くてもいいと言っているのではありません。

今日はこの辺で。

遺言活用事例・3人家族の場合

今回は3人家族で遺言を遺す場合の注意点を書きます。

夫は数年前に亡くなっており、長男と次男がいるが、長男は結婚して独立して現代は遠方で暮らしており、年1回正月に帰ってくる来るくらい。
次男は独身で母親と同居している。

母親は、同居している次男に家(土地・建物)を譲りたいと考えている。
この家は夫が亡くなった後、妻名義で登記をしている。

法定相続の場合は、長男2分の1、次男2分の1になります。
相続財産にその家と同額の現金があるか、次男にそれなりの資金があれば遺産分割協議で解決できる可能性が高いですが、なければ長男を説得しなければなりません。

この場合に遺言書でできることは、生前に話し合いができる環境で渋々ではあったものの長男も何とか納得したのであれば、その内容を遺言書に落とし込むことで母親の死後考えを変えない程度の担保にはなります。
こういう場合、話し合いがついたからと何もしないでおくと、母親の死後急に態度が変わることもあるので注意が必要です。

話し合いができない場合は、遺留分の問題が出てきます。
相続財産の4分の1を長男に相続させなければなりません。
これを下回ると、母親の死後次男が長男に遺留分減殺請求をされる可能性があります。
もっともこの4分の1というのはあくまでも最低限の割合ですのでお間違えの無いように。

ちょっとした誤解からしなくてもいいことで争いになっていくケースが実に多いです。
何度も書いているかもしれませんが、確かに遺言は遺言者の意思表示です。
それを法律が認めています。
ただし、この意思表示は何も割合だけを表すものではありません。
遺言者がなぜこのように思うのか、その遺言書に遺言者の気持ちをのせるべきです。
母親の気持ちがわかることで長男も納得できるかも知れません。
(もっともこれは付言事項といってこの部分は法的効果を伴いません)

例えば、相続開始時に現金が用意できなくても、その後少しづつでも支払えるのであれば長男も納得できるかもしれません。
落としどころはあります。
ただし、感情がこじれてしまったあとではどうにもなりませんのでくれぐれもご注意ください。

遺言書も使いようです。
すべてがこれで解決するわけではありません。

今日はこの辺で。

 

遺言活用事例・4人家族の場合

今回は4人家族の場合で、どういう注意点があるのかをお話します。

夫75歳、妻70歳、長男42歳、次男40歳で、夫と妻は長男夫婦と同居していて、次男も結婚して独立しているという設定です。

相続財産の大部分は土地・建物で預貯金を含めた現金がさほどなく、遺言を遺さず妻がすべてを相続するという場合それほど問題ないように見えます。
実際次男がよほど母親と相性が悪いとか、この時点で相当お金に困ってるとか、特定の原因がなければ無風と考えても問題ないでしょう。
ただし、次を考えなければの話です。
つまりいずれ来るであろう2次相続のことを考えればそううまくいきません。

普通に考えて妻が亡くなった時にそれほどの現金が残っているとは考えにくいですし、親が生きているときと亡くなった後ではまったく様相が違ってくるというのはよくある話です。
妻が亡くなった時にそれなりに現金があればまた状況は変わるかもしれませんが、やはり2次相続のことまで考えて対策を練るべきです。

これは別に、長男に相続させるとか次男に相続させるとかを言っているわけではありませんし、何が正しいとかははっきり言ってありません。
ケースバイケースなのは言うまでもありませんが、まず話し合う必要があります。
妻が亡くなったときのことまで考えて。
遺言を遺すときもそこまで考えないと、非常にまずい事態におちいることもあります。
何を言いたいかといえば、一見無風に見えるときほど危険が潜んでいるということです。

両親の面倒をみたから、自分は長男だから、母親が亡くなった後に長男が何を言っても次男はきかない可能性があります。
もちろん遺言はそもそも遺言者の意思表示です。
ただその意思表示は何を目的として行うかを忘れないでくださいね。

今回兄弟二人とも結婚しているという設定にしたのは、両方の妻とも相続人ではありませんが相続の関係者です。
かなりシビアに権利をみつめることができる側と、ひょっとしたら実の息子である旦那以上に旦那の両親の面倒をみたのにという、今回の相続問題で最も感情的になる可能性がある側とにわかれますので、くれぐれもご注意ください。

最後に長男に家を残したいことと妻が長男夫婦と引き続き暮らしたいと思っていることを前提にひとつの例として、妻の面倒を最後まで見ることを条件に家を長男に相続させるやり方があります。
もちろん次男が納得しなければ遺留分減殺請求をされるので、次男を説得できるかどうかが問題ですが。

母親が生きていて、その母親の面倒を長男がみるという状況と、その母親が亡くなり、誰にも遠慮することが無くなった後という状況ではまったく考え方がかわるかも知れません。

これはあくまでもひとつの例です。
総合的に戦略を練ることはもちろんタイミングは逃さないでください。

今日はこの辺で。